■波長較正■

この作業は検出器を外さない限り通常、必要ありません。

WinSpec32では、分光器の中心波長(Spectrograph calibration)でも、またマニュアルでも波長較正を行う事が出来ます。Spectrograph calibrationSpetrographメニューのCalibrationを使用します。この項ではSpectrograph calibrationについて記述します。Spectrograph calibrationルーチンは、ダイアログにある値を入力するように要求します。水銀ランプのように既知の光源を分光器のスリットに入射しなければなりません。一度、以下のSpectrograph calibrationを行えば、分光器のいかなる動作をしてもスペクトル情報が正しく表示されます。

較正を行う前に、分光器は、正しく焦点合わせとアライメントが行われている事が必要です。

適当なライトソース(水銀ランプなど)を分光器の入射スリットに近づけ、検出器に分光器を通った光が入るようにします。

 Experiment Setupのパラメータをスペクトルが測定出来るように設定します。Easy Binを使用してCCDの中心部分の数列のシングルストライプを使用し、露光時間を0.1秒から0.5秒に設定します。

 

SpectrographメニューのCalibrateを選び、Spectrograph Calibrationダイアログボックスを開いてください。

正しい Grating to Calibrate が選択されている事を確認してください。較正は、特定のグレーティングに対して行われます。もし、表示されているグレーティングが正しくなければ、正しいグレーティングを選択して下さい。

 表示されているDetector Pixel Width (mm単位)が正しい事を確認してください。デフォルト値は、インストールされているCCDのタイプに依存します。注意事項として、テーパーファイバーがチップの前面に付いている場合など、spectrographに現れるピクセルサイズは変更されており、それを反映しているはずです。

表示されている Magnification 値が、正しい事を確認してください。このパラメータは、分光器のジオメトリにより決まっています。もし、この値に関する質問があれば日本ローパーまでお問い合わせください。

 

Offset

較正作業はOffset ら始めDispersionで終了します。較正において、このステップを実行することは、完全な較正を行うために必要です。もし分光器をゼロ次光ピークや、他の既知のピークに移動させるのであれば、理論上はピークは、アレイの中心に正確に位置するはずです。実際上は機械的な取り付け許容誤差のため数ピクセルのずれを生じます。このOffset手続きは、この小さなオフセットエラーを修正します。

 

Spectrograph Calibrationダイアログボックス中で, Offset ボタンを押して下さい。左のようなOffsetダイアログボックスがあわられます。

 現れたダイアログボックスはReference Wavelength入力ボックスを持ちます。これは、オフセット測定のために分光器をセットする波長です。すべてのActon分光器ではゼロ次を使用しますので、”0”とセットして下さい。

 Start Offset Procedure ボタンをクリックして下さい。分光器はreference wavelengthへ動き、データ測定を始めます。次に、ピーク検出が行われ、その結果が表示されます。

 

 

上図は、典型的なオフセットデータを示しています。リファレンスピークは、ディスプレイの中心に現れ、カーソルがピークの近く、ないしは最も高い位置にあるはずです。もし、ピークがサチっていたら、キャンセルし露光時間を短くし、もう一度やり直してください。表示のX軸は、(ピクセル以外の)較正単位にして下さい。もし、X軸がピクセルであれば、Usageダイアログボックス(Calibration menu)で較正に使用する単位に変えてください。

続けていく前にピーク上のカーソルの位置について判断しなければなりません。正しい位置のカーソルポジションを得るために、それを再調整する必要のある場合があるかもしれません。ピークローケータは、ピークを検出するためスペクトルの2次微分を取ります。それぞれのピークは、左側と右側のエリアが等価になるように2分割されます。カーソルは、ディバイダがピークを横切るところに位置します。注意しなければならないのは、ピークの形に依存し、必ずしも最も強度のある点に位置しない事です。

正しいピークを検出出来ない場合は、マニュアルでカーソルを操作し、正しいピークの位置に動かしてください。

Offset ダイアログボックスをOKボタンをおして閉じて、Spectrograph Calibrateダイアログボックスに戻ってください。

Adjust

一度リファレンス波長(ないしはゼロ次ピークの)Offsetを調整しても、他の波長は、まだ十分較正されていません。なぜなら、波長較正を仮に線形であると仮定すると:

y = mx + b

これは単純化モデルであるが、基本的な関係を示すには十分です。“b”項は(リファレンスピークをアレイの中心に調整する)オフセットであると考えられる。オフセットリファレンスから離れたポイントの位置は、スロープ項”m”で決定され、このAdjustは、この”m”をセットする手続きである。結果的に、他の波長の光を、アレイの中心に位置させるようになります。

 

Adjustボタンを押して、Adjustダイアログボックスを開いてください。

水銀の579.066nmのように、測定する機知のリファレンス波長を入力してください。次に、Start Adjust Procedureをクリックして下さい。.

分光器は、リファレンス波長へ動き、スペクトルを測定します。ピーク検出を行い、取得したデータを表示します。リファレンスピークは、おおよそディスプレイの真中に現れ、カーソルはピーク、ないしは最も強度のあるそばに現れるでしょう。

Offset調整の場合と同様、続ける前にピークにおけるカーソル位置に関して判断を行ってください。特に、正しいピークが検出されているかどうかに気をつけてください。例えば、ピーク検出が、576にカーソルを置いた場合など、マニュアルで579のピークに動かしてください。

Dispersion

以上でOffsetAdjustが完了しました。分光器はターゲットのピークをディスプレイの中央に極めて近く動くはずです。最後のステップはウィンドウの左の方のピークと右の穂を正確に較正するようにする事です。これをDispersion計算と呼び、WinSpec/32で自動的に行われます。Dispersionを調整するには、lowerスペクトルレンジ(Hg:253.652nm)で2つの測定(一つは左端、一つは右端でのピーク)を行います。次に、upper スペクトルレンジ(Hg: 579.066)2度行います。これらのステップの後、WinSpec/32は、Focal Length, Inclusion Angle, Detector Angleのエラー値を最小にする組を決定します。

あるCCDでは、253.652nmでは、非常に弱いレスポンスを示します。お使いの検出器がこのケースにあたる場合、より長い波長のピークを用いる必要があります。水銀のラインであれば、435.833 のラインが最適です。.

 

 

Dispersionボタンを押してDispersion ダイアログボックスを開いてください。もし、以前にDispersion計算をした事がなければ、Defaultボタンを押して下さい。これにより、Focal Length, Inclusion Angle, and Detector Angleの標準値を与えます。もし、以前にDispersion計算を行っていて、それが確かなら、それをスターティング値とします。

 LowerHigher Reference Wavelengthsを入力してください。水銀スペクトルでは253.652 (low) 579.066 (high)を用います。(253.652で感度が低い場合は、別の波長を用いてください)Target波長は入力する必要ありません。これはプロシージャの間に計算されます。

Note: 次のステップでは、それぞれユーザーによって開始される4つのデータセットを取ります。Start Procedure ボタンに始まり、同じボタンが一度データを取るContinue となり、次の3つデータを取り始めるのに使用します。それぞれのデータを取った後、ユーザーは、ピークにおけるカーソル位置の調整を行えます。

 

Start Procedureボタンを押して下さい。

_ WinSpec/32は最初のデータを取り、表示します。ディスプレイの左端にLower Reference波長が位置するようにTarget Wavelengthが計算されます。Target Wavelengthは端近くにreference波長が位置するように分光器が動かなければならない波長です。

_ もし、ピークがディスプレイの外にあれば、より良いと思われるTarget Wavelength を入力し、Repositionタンを押して下さい。もしピークが中央付近にあれば、ちょっと高めのTarget Wavelengthを入力し、Repositionタンを押して下さい。ピークが左端近くにいたら、それをチェックし、もし必要ならOffsetAdjustの時と同様にカーソルを調整してください。次に、Continue to Step 2クリックし、2番目のデータ取得を行ってください。

_2度目のスペクトル測定を行います。もしピークが期待通り右端にあれば、Continue to Step 3クリックし、3度目のデータ測定を始めてください。もし、ピークが右端になければ、Repositionボタンで分光器を動かし、low peakが右端になるようにして下さい。次に、Continue to Step 3をクリックし、3度目のデータセットと取ってください。

_ 3度目のスペクトル測定を行います。この時、カーソルの位置は579.066nmです。もしピークが左端にあれば、Continue to Step 4ボタンを押して4番目のデータ測定に移ってください。もし、ピークが正しい位置になければ、Repositionボタンを使用して左端のピークが行くように調整してください。そしてContinue to Step 4をクリックし 4番目のデータセットを測定してください。

_ 4番目のデータセットが完了したら、カーソル位置が正しいかどうか確認してください。もし、正しくなければ、マニュアルで調整してください。4つのリファレンスポイントすべてを終了すれば、WinSpec/32は最適値を求め始めます。このプロセスはCalculate Results ボタンを押すとスタートします。WinSpec/32がこの(反復)計算を行っている様子をパラメータの変化で見ることが出来ます。プログラムは最適値を表示して停止します。もし計算が成功すれば、単にOKボタンを押すだけで、そのグレーティングでの較正データの最終パラメータが保存されます。Cancelをクリックすると、以前保存されていたパラメータに戻ります。マニュアルでパラメータを変え、それを(OKボタンを押して)保存することも出来ます。一つのグレーティングの較正が完全に終了したら、次のグレーティングも同じ手順で較正し、すべてのグレーティングを較正してください。